「道の駅」がアライアンスを主導する時代に地方行政の果たす役割って?

道の駅
地域活性化に限った話ではありませんが、現代においてなにかしらの社会的な課題を解決しようとする場合、もはや一団体が自前の資源だけでできることはあまりに限られています。ある程度大きな社会問題を解決するには、さまざまなステークホルダーを巻き込んだ、解決のための協力体制の構築が必須です。

これはすでにビジネスの世界では当たり前の話です。
90年代以降、企業は自社のコアコンピタンス(競合他社が容易に真似できない、自分たちの核となる能力)への集中を求められるようになりましたが、それと平行して、企業間の提携の重要性が増してきました。得意分野は自分たちで行い、足りない部分はそれを得意とする他社のリソースにより補完することでサービスやバリューチェーンをつくる。そういったあり方が、いまや事業の基本的な進め方の一つになってます。

近年、地方活性化において行政が果たす役割が昔に比べて相対的に小さくなっているように感じている人も多いと思います。それは、政治力を前提とした政治家主導の産業誘致や特産品PRの時代が終わったこと、そして財政の弱体化が前提となっているわけですが、それでもなお行政が地域活性化の主要プレイヤーであることには変わりはありません。果たすべき役割と「振る舞い方」が大きく変わっただけです。

山口県周南市・周南ツーリズム協議会・ヤマト運輸が「地域活性化包括連携協定」を締結
~ “福祉型”道の駅「ソレーネ周南」を基点に、高齢者の“生きがい”支援や周南ブランドを発信 ~

最近発表になったこの周南市での連携協定は道の駅「ソレーネ周南」が呼びかけたものだということですが(参照)、その点も含めて非常に興味深い取り組みです。

まず、道の駅自体が観光のみならず福祉の機能も備えることで、高齢者の生きがいとツーリズム(この場合は道の駅の販売機能)とが循環する仕組みを志向しているという、地域の課題を強みへと転化しうるこの座組が、非常に考えられていると思います。
地方における福祉政策はどうしても社会保障の枠組みでのみ語られることが多いのですが、道の駅という地方におけるツーリズムの最前線が核となることによって、より経営的な視点で高齢者の「稼ぐ」がとらえられています。

もう一点は、物流最大手であるヤマト運輸と行政、道の駅との連携協定であるという点です。
現代は高齢化が進んでいるだけではなく、インターネットの普及などでモノの売買が空間に縛られることが減っている社会でもあります。結果、物流が果たす役割は一般の消費者の目に見える部分でもますます大きくなっています。宅配便などを通して物流大手は頻繁に個人宅を訪問しており、そうした点を活かして、すでに様々な地域で高齢世帯の見守り支援サービスなどに取り組んでいます。
今後も緊縮が進む地方財政を前提とした場合、もはや物流会社は最重要な社会インフラとして、行政がもっとも関係性を強めなければならないプレイヤーだと言えるわけですが、同時に彼らは営利企業でもあり、最低限度の利益が見合わない限り連携は成功しません。その点、この事例では道の駅が核となることで、ステークホルダーそれぞれに「稼ぐ」という要素がきちんと入っています。

そしてこの連携協定が興味深いのは、先にも触れたとおり、道の駅「ソレーネ周南」が呼びかけたものである点です。事業を通して培われた道の駅とヤマト運輸との関係性が先にあり、そこに行政が後から乗っかってきた構造に見えるところが、これからの行政のあり方を考える上で非常に示唆的です。
これからの行政に求められるのは、「地域の課題を把握・明示し」、「その課題を解決できる座組・体制作りをコーディネートする」ことだと私は思います。そのためには自前主義を捨てビジネスセクターともサービスの側面で連携する柔軟さと、ステークホルダーを広く見渡す目利きの能力が必要となります。

まだ発表になったばかりの取り組みですが、こういったチャレンジを重ねることでしか地域の活性化は進まないと思います。いろいろ難問はあるでしょうが、応援したいと思うのでした。

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