民家がある風景を受け継ぐには

風景の議論は簡単に極論や反例が提示されて、すぐ議論が相対化されてしまうので、一個人の雑感だと軽い気持ちで読んでもらえたらと思います。

今回は、「伝統的日本の風景は受け継ぐ必要があり、その重要な要素である伝統的木造家屋(以下、民家とする)はどうしたら住み継がれるのだろうか?」という疑問を自分なりに整理していきます。

まず、民家に住みたくない理由は、おそらく、地震、火事、寒さ、暑さ、音ではないでしょうか。これらがそのまま住み継がれない理由だと思われますが、全てに対し技術的解決方法は多くあります。

ただ、(地震、火事)と(寒さ、暑さ、音)は命に関わるかどうかという点で区別すべきです。

後者は、木という性質上、生活の器としてのスペックが低いというのは否めません。ただ、現代人が満足できないのはそれだけでなく、昔と現代の生活様式とがあまりにもかけ離れ、日本人は民家で生活することを心身ともに許容できなくなっていることが根幹にあると思います。ですから、民家を住み継ぐには、ある程度建物に合わせた生活様式にする覚悟が必要だというのが一つ目の結論です。

前者は、火事に関しては今後の考察事項として、今回は地震についてもう少し考えていきたいと思います。

耐震性向上のために2つだけポイントを挙げると、

①壁・筋交いを増やすこと

②基礎をしっかり作ること

です。

耐震性を向上させるのは、日本における建築の永遠の命題であり、耐震改修促進のために補助金も出ています。非常に有効な施策だと思いますが、補助金の交付方法には少し改善の余地があると考えています。

その点は、加賀市を例に取ると下記の2点です。

  • ②が疎かになっていること
  • ハードルが高いこと

これは、加賀市木造住宅耐震改修事業補助金交付要綱にある「木造住宅の耐震診断等の方法に基づく一般診断法又は精密診断法により、建築物の耐震性の判定基準に係る上部構造耐力の評価を1以上にする」を参照するといいのですが、この内容を簡単に言うと、「新築木造建物と同じだけの壁量を作りなさい」ということです。

この問題点は、基礎より上の木の箱だけしか強化していない。つまり、①だけしか補強せず、同じように大切な②が疎かになっていることです。

また、耐震補強は、少しでも効果があるのに、新築同等の壁量を設けるというのは、工事費という観点からも、非常にハードルが高い。

地震に関しては、簡易な耐震改修にも小額の補助金を出し、基礎補強も含めたより実効的な耐震改修に補助金を出していくよう条例を変更していくべきというのが結論です。

まとめると、民家を住み継ぐには、

  • 改修によって大概の問題は大幅に改善できるが、建物に期待しすぎない
  • 耐震性向上には改善の余地があり、「構造家」にアドバイスをもらえ

ということでしょうか。

Share on Facebook
このエントリーをはてなブックマークに追加

 

Tags:

Comments

No comments so far.

  • Leave a Reply
     
    Your gravatar
    Your Name
     
     
     

    WP-SpamFree by Pole Position Marketing