カルフォルニア州政府のホームページ【地域活性化とICT②】

今や日本の自治体でホームページを持っていないところはありません。自治体の情報発信のあり方については、今後述べていきたいと思いますが、今日は、その一つの理想形としてカルフォルニア州政府ホームページ(以下、CA.Govと略称)を紹介したいと思います。なぜ、CA.Govを取り上げるかというと、カルフォルニア州は、ICT(情報通信技術)の積極的な導入でアメリカの中でも先端をいく自治体の一つであり、近年話題になっている「Government2.0」の実例の一つとして見ることができるからです。

1.ユーザー目線のサイト構築

まずトップページからみてみましょう。日本の自治体のホームページだと、健康や観光、産業といった「分野別」あるいは、総務部・観光部といった行政の「組織別」なのが大半です。一方CA.Govの場合、それだけでなく、ユーザーがどのような目的でアクセスするのかを考えて、サイトが構成されています。

例えば、カルフォルニア州のどこかで起業をしたいと考えたとします。その場合、「business」をクリックすれば、資金調達から、パートナー探し、税金のことなど、必要な情報が一通り得て、手続きまでできます。その他、「カルフォルニアに住みたい」「観光で訪れたい」など、目的に応じて必要な情報を得ることが出来ます。

このような意識は、RSS(更新情報の自動配信・受け取りサービス)やニュースレターにも表れています。日本の自治体の中にもRSSを配信しているところもありますが、自治体全体の情報のRSSというのが、ほとんどです(そもそもRSSを発信していない自治体のほうが多いのですが…)。この点、Ca.govでは39のRSSフィードと60のニュースレターを発信しています。

考えてみれば、住民が欲しい自治体の最新情報とは、予防接種のお知らせなどの子育ての情報とか、イベントの情報など、何か目的があるわけで、入札情報や条例制定のお知らせなど、ごちゃまぜの新着情報など不必要に決まっています。この点、Ca.govはユーザーの必要に応じた新着情報のみ取得できる設計になっています。

それは、twitterやFacebookなどのソーシャルメディアの利用でも同様です。日本でも最近、twitterアカウントをもつ自治体が出てきていますが、日本のように「自治体に一つ」のようなことはなく、組織別・キャンペーンごとにアカウントがあり、州政府内に100以上のアカウントがリストとしてまとめています。自治体によるtwitterの活用することのメリットについては、また稿を改めて論じたいと思いますが、単に情報を発信するだけでなく、利用者と実際にやり取りすることをすることによって、利用者の理解を促進し、行政サービスの利用が増えたなどということがあるようです。さらに州内の各自治体のアカウント、図書館、大学、観光ごとにリストがまとめていて、まさしくカルフォルニア州に関するポータルサイトのようになっています。

またどうしても、目的の情報が得られない場合、トップページから、チャットを通じて、人と繋がり、アドバイスをもらえるようになっています。

2.徹底した情報公開と「govement2.0」

しかし、なんといっても特徴的なのは、すさまじい量の情報公開でしょう。実はオバマ政権になってから、政府としても大規模な情報公開を進めているのですが、カルフォルニアは情報公開がもっとも進んでいる自治体の一つです。「Data.CA.Gov」では、予算・金融、土地利用、交通、経済などに関する1億以上のデータがオンラインでアクセス可能となっています。しかもCSV、TXT、XMLなどといったフォーマットごとにダウンロードが可能になっています。もちろん検索機能がついていて、注目のデータセットやグラフなども表示されるようになり、ユーザー側が、ほしい情報の要望をしたり、データの活用についてアイディアを出し合うスペースまで用意されています。

このような姿勢に、「government 2.0」を読み解くことが出来ます。government 2.0とは、web2.0を提唱したことで有名なティム・オライリーの開発したコンセプトであり、「政府や自治体はプラットフォームであるべきだ」という思想です。これは簡単に言えば、政府・自治体が直接になんでも行政サービスをおこなうのではなく、政府は、民間が優れた公共サービスを提供できるように、環境を整備しようというものです。その必要条件の一つが「徹底した情報公開」といえるでしょう。

実際にCa.Govでは、アプリケーション開発コンテストを行なっていて、行政データを利用した様々なアプリケーションが生まれています。それだけでなく「クラウド・コンピューティング」を利用したシステム維持費のコスト削減など、様々な「効果」をあげています。その他、色々と成果がでているようですが、もっと知りたい方は、責任者であるCarolyn LawsonとAdrian Farleyの講演(2009年「Web 2.0/ Gov 2.0 Expo」での講演)をぜひご覧下さい。

3.日本の自治体ホームページに求められるもの

最初にあげたような、ユーザーの目的指向的なサイト構成も、徹底的な情報公開と並んで、人々の活動の下支えをする、条件を整備するという「government2.0」のコンセプトに適ったものといえるでしょう。単なる情報公開でも、また、単なるソーシャルメディア(twitterやFacebook等)の利用などではないということに注意しなければいけません。重要なのは、何を目的とするかです。日本の自治体も、ホームページを通じて何をしたいのか目標を明確にするとともに、手段が目的化しないように注意すべきしょう。

地方財政が逼迫する中でも、行政サービスに対する需要は減少する兆しは全くありません。そうであるならば、ぜひとも日本の自治体も「govoment2.0」のコンセプトを取り入れていってほしいと思います。そして、民間発の公共サービスや、新たなビジネスが、地方で数多く誕生するような条件整備をぜひ行なってほしいと思います。

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