ふるさと納税のあるべき姿について

私たちが展開している「潜在住民」というコンセプトは、地方自治体との結びつきで考えると「ふるさと納税」という施策と深い関連性を持っているという話は、以前のブログ記事や、コンセプトを展開した論考の中でさせてもらいました。
この「ふるさと納税」に関する話題の中で、最近私の目を引いたものが次の2つの記事です。
まず、和歌山県串本町の話題。
ふるさと納税制度を使って和歌山県串本町に寄せられた寄付金が2010年度だけで1千万円を超え、このうち6割超がトルコ軍艦エルトゥールル号の映画作りのための寄付であることが分かった。町は「映画化が実現すれば町おこしにつながる。大変ありがたい」と喜んでいる。
ふるさと納税による同町への寄付は08年度が2件6万5千円、09年度が18件227万6900円。10年度はこれまでで75件1089万5千円あり、制度が始まってからの合計は1323万6900円になった。
そして、滋賀県彦根市の話題です。
滋賀県彦根市のキャラクター「ひこにゃん」の活動を応援する市のふるさと納税の寄付が急増している。今年4~10月までで478件、約275万円となり、昨年同期比で件数は約4倍、金額は約3倍もの人気だ。市はふるさと納税の一部の寄付を、今年10月に発足した「ひこにゃんファンクラブ」の会費にしたため、全体の増加につながったとみている。
市のふるさと納税は6事業あり、今年4~10月の寄付は全体で531件で計約318万円。このうち、ひこにゃんの出張や活動費となる「みんなのひこにゃん応援事業」は件数で約9割、金額で約8割を占めている。
この2つの記事を並べてみると、ふるさと納税が成功するための条件が見えてくるように思えます。
串本町の場合は映画、彦根市の場合はキャラクターのファンクラブ。
この2つには大きな違いがあるものの、「ふるさと納税の使いみち」が一般の人たちには具体的で分かりやすいという点では共通しています。「町の環境整備」のような、漠然としていて内容が見えないものではありません。
まず、この「使途が明確である」ということが何より重要だと言えるでしょう。抽象的で目に見えないものに対してコミットするというのは、当たり前ですが、きわめてハードルが高い話になります。
もう一点指摘できるのは、トルコ軍艦エルトゥールル号の映画にしても、ひこにゃんにしても、完全にそれぞれの土地と紐づいている「その町だけのコンテンツ」であるという点です。
エルトゥールル号の事件は歴史に根差しています。一方で「ひこにゃん」はクリエイターによって創造されたキャラクターですが、その名前から活動から、彦根を抜きにしては成立しません。
こうした「他の町では成立しないもの」こそが、いまやその町を離れて暮らしている出身者の心を再び「ふるさと」に向かわせるのであり、自分には親しみのない町をあたかも近しい土地のように感じさせるです。
もちろん、ひこにゃん以後に雨後のタケノコのように全国津々浦々から湧いて出てきたご当地キャラクターや、地方と結びついた映画製作の数々については、それぞれのたどってきた経過や性格も含め、決してうまくいっているものばかりではない(むしろほとんどが失敗に終わっている)ことは私も理解しています。
しかしながら、この2つの例から、人々の「ふるさと意識」(あるいはもっとざっくりと、地域への興味)をある種のコミットメントに変えていくためのヒントを探ってみることは大切だと思ったのでした。
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